City Lights Bookstoreとビートジェネレーション。サンフランシスコ伝説の本屋

サンフランシスコの北東部、ノースビーチに「City LIghts Bookstore」という古い本屋がある。サンフランシスコに訪れる際は是非立ち寄って欲しい伝説の本屋だ。


1950年代から1960年代にかけて起きた、カウンターカルチャー「ビート・ジェネレーション」の中心になったこの場所は、今も色褪せる事なくサンフランシスコの街で独特な空気感を放ちながら営業している。そこで今回は、この「City LIghts Bookstore」の歴史や店内、当時の「ビート・ジェネレーション」について。


_City Lights Bookstoreとビートジェネレーション

  CONTENTS


・ビート・ジェネレーションとは

・City Lights Bookstoreの店内



| ビート・ジェネレーションとは

ビートジェネレーションとは、1950年代から1960年代にかけて起こったアメリカで恐らく初めての思想運動。第二次世界大戦後、アメリカが急激に経済成長する中で、社会から与えられたレールに乗らず、自分達の人生を自分達のスタイルで生きたいように生きる事を求めた人達が、ニューヨークとサンフランシスコを中心に文学的なアプローチで起こしていった運動だ。

小説「オン・ザ・ロード」の著者ジャック・ケルアックや詩集「吠える」のアレン・ギンズバーグ、小説「裸のランチ」のウィリアム・バロウズなどの作家が中心になり、自分達の作品で文学運動を起こしていった。このヒップスター達の作品群は、ビートジェネレーションの思想に共感するビートニク達のバイブルになり、大きなカウンターカルチャーへと発展していく。そして、この流れは1960年代のベトナム戦争に反対し、自由と平和を愛したヒッピーカルチャーへと繋がっていった。このカルチャーのバイブルになったのは、1968年に創刊した「Whole Earth Catalog」だ。Appleのスティーブ・ジョブスもこの一連のカウンターカルチャーに多大な影響を受けている。

そして、このカウンターカルチャーは音楽にも大きな影響を与えた。
当時ビートニク達はカフェで詩を朗読する「ポエトリーリーディング」によって、社会に対しての不満や自分の信念を言葉にして表現した。これが、パティー・スミスやボブ・ディランのスタイルやこの後のロックミュージック、そして1970年代に誕生するラップへ色濃く影響を与えていく。
国として、ヨーロッパと比較して歴史の浅いアメリカにとって、この大きなカルチャーのうねりはその後の芸術的な発展に大きく貢献した。

|  City Lights Bookstoreの店内

    シティーライツブックストア

詩人のローレンス・ファリンゲティが1958年、サンフランシスコのノースビーチで開業した、地下1階と2階がある3フロアのこの本屋は、ビートジェネレーションのバイブルになったジャック・ケルアックの「オン・ザ・ロード」やアレン・ギンズバーグの「吠える」の出版元として、世界的に有名になった。

ここは、ビートニク達の活動の拠点として、単なる本屋じゃなく、リベラルな精神をもったアーティストたちの集まる文化の交流の場になっていた。当時「ポエトリーリーディング」を行う場所として使われていた2階のポエトリールームは、今も当時の精神を受け継いで、ポエトリーリーディングなどのイベントが行われている。

この本屋には、どこでも売っているような本は置いていない。社会へ異を唱え、自由への主張をし続ける作品群の品揃えは新鮮で見ていて本当に楽しい。

現在は、様々なバックグラウンドを持つ作家の異なるジャンルの作品も品揃えしている。

サンフランシスコを訪れる際は、是非立ち寄って欲しい伝説の本屋だ。現地でしか味わえない、当時の空気を感じられる独特の雰囲気を体験することを強くオススメする。