エアロプレスでの美味しいコーヒーの入れ方。ダイレクトな味わいを堪能する方法
「新進気鋭」のモノはいつだって人々を魅了し続けてきた。古き良きモノを継承しながらも、利便性や効率など、我々の生活を手助けするような術を携えて。750年以上あると言われているコーヒーの歴史においても、数々の「新進気鋭」のモノが生まれてきた。栽培方法や、乾燥の仕方、焙煎や抽出、レシピに至るまで、長い月日をかけて日々進化し、今のコーヒー文化を形成してきている。今回は、コーヒーの抽出方法におけるそんな「新進気鋭」のエアロプレスについて。
_エアロプレスについて
CONTENTS
・エアロプレスのメリット/デメリット
・エアロプレスでのコーヒーの入れ方
・ステンレスフィルターのススメ
| エアロプレスのメリット/デメリット
近年コーヒーショップでも数多く導入されている抽出方法であるエアロプレス。2005年頃から現れた比較的新しい方法だ。
そのメリットは短的に言うと「素早く一定のコーヒーが抽出できる」ということ。まずは素早さについて。先日紹介したペーパードリップが1杯あたりおおよそ3~4分の抽出に対して、このエアロプレスの抽出時間はおおよそ1分30秒から2分と、半分の時間で抽出ができる。時間の無い朝なんかにはもってこいだ。さらには、豆や湯の量さえ決めてしまえば、誰が淹れても一定の味わいが保たれる。詰まるところ、抽出技術やいわゆる「コツ」による差が出ないのだ。コーヒーショップで導入されているのも頷ける。豆や湯量を同等にすれば、自宅でもプロが淹れるコーヒーに近づくことができる。これはコーヒー初心者にとっても実に革命的なことだ。
もうひとつは、コーヒーの味を「よりダイレクトに感じられる」こと。その他の抽出方法にはない「空気圧」を使うのがミソ。ペーパードリップではお湯の自重でゆっくりと抽出していくのに対して、このエアロプレスでは空気圧によって押し出すように抽出していく。これによってコーヒー豆が持つ本来の味わいを余すことなく抽出できるというわけだ。こだわりのスペシャルティコーヒーを飲むには最適な器具だったりする。
次にデメリット。販売店によって異なるが「価格が高い」のが難点。多くは¥5,000~¥6,000あたりで販売されている。加えて専用のペーパーフィルターが必要で、使い捨てのため都度買い直さなければならない。毎日コーヒーを抽出するようであれば、洗って使えるステンレスフィルターも捨てがたい。¥1,500~¥2,500くらいの価格ではあるが、繰り返し使えるので、よっぽどのことがない限り買い換える必要はない。よりこだわって飲みたい人は、ペーパードリップのコーヒーと飲み比べてみるといい
| エアロプレスでのコーヒーの入れ方
1.器具をお湯で温める
こういったひと手間が至極の一杯へと導いてくれる。キャップにセットしたフィルターとマグカップに湯を注いでいく。温度による味の変化が顕著なコーヒーには必要な準備だ。
2.プランジャーにチャンバーをセットする。
抽出時とは逆さにすることで、初心者でも液漏れせず簡単に抽出できる。この方法は「インヴァート方式」と呼ばれている。
3.ミルしたコーヒ豆を入れて、お湯を注ぐ
中細挽き(ペーパードリップより細か目)に挽いたコーヒー豆と湯を入れていく。付属の計量スプーンは12g程度。カップ1杯分の160ccのお湯を、30秒程かけてゆっくりと注いでいく。
4.パドルで攪拌する
お湯を注ぎ終わったら付属パドルで攪拌していく。大体5秒くらいでゆっくりと。
5.チャンバーにフィルターとキャップをセットする
攪拌し終わったらフィルターを入れたキャップをセットして1分程度蒸らす。これで準備完了。
6.抽出する
いよいよ抽出。逆さのエアロプレスを元に戻しマグカップの上にセット。両手でゆっくりと押し出していく。少し力が必要なので、真上から少し体重を乗せて押すのがオススメ。最後まで押し切ると少しエグみが出てしまうので、空気が漏れる音がしたら止める。
これで完成。ペーパードリップほど時間もかからず、手軽にコーヒーが淹れられる。
エアロプレスの特徴のひとつが、エスプレッソのような味わいも楽しめること。極細挽きの豆10gに対して40ccのお湯で同様に抽出すれば、濃縮されたエスプレッソも簡単に飲むことができる。家でラテを飲むことだって簡単だ。
| ステンレスフィルターのススメ
エアロプレスを購入するとペーパーフィルターも付属で付いてくる。使い捨てで手軽なのはいいが、買い換える手間や、コーヒーの成分を濾し取ってしまうのが難点。そこでオススメしたいのがこのステンレスフィルター。
価格は先述の通り安くはないが、自分のように毎日コーヒーを飲むなら是非とも手に入れたいところ。ステンレスのため、コーヒーオイルを含めた豆の味わいをダイレクトにそのまま抽出できる。空気圧と相まって、スペシャルティコーヒーの豆の違いを存分に体感するにはもってこいのフィルターだ。
もちろん洗って繰り返し使うこともできるし、軽くコンパクトなお陰でアウトドアにも持ち運べる。新しく今の時代にも則したコーヒー器具といえる。これからコーヒーを楽しみたい人も既に楽しんでいる人も、新しい抽出方法で新しいコーヒーを楽しんでもらいたい。「新進気鋭」のモノには、そのルーツといえる古き良きモノが必ずある。クラシックな手法であるフレンチプレスの抽出方法とペーパードリップの抽出方法については別の記事で。